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総評 第16回長岡インディーズムービーコンペティション

 技術的にも内容的にもレベルが高い作品が多く出品されていましたが、
・ 企画に乗った作品
・ 能力、技術を試しているような作品
・ こなしている作品
ではなく、「この作品を作りたい」という強い気持ちが伝わってくるもの、「この作品はこうでなくてはならない」というこだわりが感じられるものを評価しました。

今年の作品の特徴としては、
•技術レベルがさらに高まっている。
(プロの方が関わっている作品がさらに増えたような気がします)
•iPhoneで撮影した作品が出現しはじめた。
(画質がよく、びっくりしました)
•出品者の年齢が高い。
(近年、四十歳前後の方が多く、若い世代の出品者が少なくなってきています)
•一眼レフカメラを用いた、被写界深度が激しい撮影は下火になってきている。
•自殺をモチーフとした作品が多い。
•SNSをモチーフとした作品が多い
•コマーシャルのような作品が多い。
•1シーンのみで撮られている作品が多い
•外国人の方が出演されている作品が多い。
などが挙げられます。
 かっこいい、雰囲気がある、というような理由で外国人の方がキャスティングされている作品が多い中で、最終審査に残った「Don’t Care」は、一人の複雑な感情をもった人間として描かれていました。全出品作品の中で「一番イケメン」と評判の高い主人公の日本人男性が、男同士の恋愛を堂々と演じているのも印象に残りました。
 審査員特別賞の「上にまいります」は、ベタで、多少説教臭いとも思ったのですが、大画面で見ても全く問題のない技術の高さ、先は読めるのですがそれでも感動してしまうストーリー展開が魅力的でした。介護士の方のキャラクターもよく、何よりエキストラ一人一人が非常に効果的に作品に生かされていました。
 同じく審査員特別賞の「萬重村の王様」は、最終選考の中で唯一県内作家の作品です。ほかにこういう作品がない、おもしろいという意見が多く、受賞が決まりました。この作品も出演者一人一人のキャラクターがすごい、主演の印象がむしろ薄く感じられるほどでした。

 奨励賞の「鰤の大晦日」は個人的には、最も感動した作品です。設定に無理がなく、ほかの作品のようにドラマドラマしておらず、リアリティを感じました。子供のいない夫婦が、孤独に暮らすおじさんに会いにいく。子供のいない夫婦だからこそ、今ある生を大切に思える。地味な作品ですが、この作品を作りたい、こういうふうに作りたいという気持ちはダイレクトに伝わってきました。インディーズだからこそ生み出せる傑作でした。
 同じく奨励賞の「かたづけ」。亡くなった息子の部屋を片付ける母親、片付けたあとにコタツにもぐる。そこで映される足のクローズアップ! 最も衝撃的なカットでした。このようなカットは誰にも思いつけない。この作品も非常に地味で、現実よりもむしろドラマ的ではない。亡くなった息子ではなく、生きている母親の焦点を当てている。ほぼサイレントで、短いながら、個性的で、映画の面白さが凝縮されている作品でした。
 奨励賞のもうひと作品「アーモンドフィッシュ」。自主制作映画を見に行くという設定は世界観が狭いように感じ、予備審査の時はよくあるような作品と思ったのですが、最終審査の大画面で見ると、手堅い演出力が際立っていました。主人公の女の子の心の揺れが丁寧に描かれてあり、キャラクターも独特。先が読めないストーリーにも引きつけられました。
 「LR Lost Road」は、昨年の準グランプリを受賞した松本卓也監督の作品。この作品が一番に推す審査員も多く、撮影、演出技術も高く安心して観ることができました。劇場で臨場感ある演奏が聴けるよう音量調整も手間がかかっていました。プロとしての監督作品もある中で、コンスタントにレベルの高いインディーズ作品を発表し続けていることに敬意を払い、監督賞とさせていただきました。
 グランプリの選考は難航しました。審査それぞれが一押しに挙げた作品で、最も上位だったのが「ひとまずすすめ」と「風薫」でした。
「ひとまずすすめ」は、スタッフも多く、内容的にも技術的にも最もしっかり作られている作品でした。特に、主人公の女の子が白髪を気にする設定は、非常にうまいと感じました。しかし、主人公の年齢設定が低すぎて共感できない、お父さん役が若すぎるといった意見もありました。また、自主映画としては大規模な作品であるが故に、手作り感が損なわれている、監督の強い個性があまり感じられない印象はありました。
「風薫」は、素直になれない主人公の女の子の行動に、もやもやさせられる作品ではありましたが、簡単にうまく行かない感じがむしろ印象深く、ストーリーに個性を与えていました。捨てカットが効果的にちりばめられており、風を存分に感じられる画面構成も魅力的でした。当て書きなのか、何よりキャスト(主人公)への作り手の思いが一番に感じられる作品でした。残念なのは、ナレーションで肝心な感情を説明してしまっているところ。万人受けする作品ではなく、予備審査でも落ちかけました。
 満場一致でグランプリという雰囲気ではなく、例年のレベルであれば準グランプリ二本というところでしたが、将来有望な作り手を激励したい思いもあり、今年はグランプリ二本としました。
 出品作すべて、ある意味では素晴らしい作品でした。数多くのご出品、ありがとうございました。

第16回長岡インディーズムービーコンペティション
審査委員長 井上朗子
(にいがた映画塾代表)

上記のように審査委員長より総評をいただきましたので掲載いたしました。
関矢茂信
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新潟県長岡市にて《ながおか映画祭》と《長岡インディーズムービーコンペティション》を主催しているコミュニティシネマ長岡のスタッフブログです。

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