FC2ブログ

BADDREAM 小林茂様感想

20180821
『BADDREAM』
   映画監督 小林茂
お笑い集団NAMARAに所属する脳性マヒブラザーズ主演、新潟映画塾のM×U監督の長編映画。
ナチスドイツではユダヤ人の大虐殺が行われる前に、障害者が虐殺された歴史がある――と映画の冒頭で解説が入る。
「民族の血を劣化させる」「劣等分子」である障害者や同性愛者らを排除するべきというプロパガンダが開始され、20万人以上が強制断種されたり、「ガス室」に入れられ殺害された(字幕より)
ある時代、ある街。障害者がゲシュタボに拉致されていく。お笑い漫才の「脳性マヒブラザーズ」の二人は「アンネの日記」のように、隠し部屋に潜んでいる。大吾と周佐のコンビ。いつかまた、舞台に立ちたいと思いながら、ネタを練習する。  
車イスの周佐がバーテン役の大吾にいろいろ酒を注文するたびに断られる。「なんでダメなの?」「だって飲酒運転になるから」「・・・車イスなんだけど・・」(笑)
二人をかくまう小林へろ、荒木夏美。簡易トイレ、食事の世話、風呂がないから夏美が大吾の体を拭く。それを眺める周佐。4人の食事場面、夜の雑魚寝。モノクロのスタンダード画面がいい味を出している。
大吾が小さな穴から除く外の世界はまぶしい。ある女性に恋心を抱く。仲間の周佐が病気になってもすぐに医者を呼ぶこともできずに死んでしまう。そして、怒りに燃えた大吾が動く・・・
紆余曲折を経て、物語は進行していくが、それは見てからのお楽しみに。
相模原の障害者施設での大量殺人事件、優勢思想における障害者の断種や中絶の裁判化。女性代議士の「LGBTは生産性がない」発言。この映画から想起する事件は最近の出来事である。これらを下敷きに考えられた作品であることはまちがいないであろう。劇映画のそれも架空の舞台設定はおもしろい試みといえる。障害者の「無念さ」「悔しさ」「よろこび」が、誰にでもある心情へと通じていく道筋が表現できたらより心に響くものとなったのではないだろうか。
最後に、私が一番感銘を受けたのは、大吾が劇中で重大局面に立たされた時に発する言葉である。「おれは木原大吾だ!」。シベリアに抑留された詩人、石原吉郎はその著書のなかで、抑留部隊が交差する瞬間に、「おれはだれだれだ!」と小さな声ながらはっきりと名前をいうのだと書いてあった。自分を表現する最も短く適切なものは名前である。それは、「生きている」ことを意味する。木原大吾はこの映画の中で「生きている」。

小林茂様より感想をいただきましたので掲載いたします。


スポンサーサイト



| トラックバック:0 | コメント:0 | BACK TO TOP |

コメント

コメントの投稿


非公開コメント

トラックバック URL

トラックバック

プロフィール

コミュニティシネマ長岡

Author:コミュニティシネマ長岡
新潟県長岡市にて《ながおか映画祭》と《長岡インディーズムービーコンペティション》を主催しているコミュニティシネマ長岡のスタッフブログです。

ながおか映画祭公式HP
http://nagaokafilmfes.jpn.org/

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

第17回ながおか映画祭 (21)
第14回長岡インディーズムービーコンペティション (12)
上映作品紹介 (7)
映画祭運営 (8)
コミュニティシネマ長岡 (1)
スタッフ紹介 (0)
DVD/書籍 (2)
長岡散策 (2)
その他 (674)

アクセスカウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR